執筆:川口 由美子
日本の個人投資家の皆さまへ
── 株式市場は、あなたの老後の生活に直結しています。
そして今、世界は静かに、しかし確実に“変わろう”としています。
あなたの資産を「守るため」「殖やすため」、この10の変化を見逃さないでください。
—
1. 【海外株から日本回帰へ──あなたの資産は今、どこに逃げているのか?】
2025年2月、日本人投資家は海外株を3,464億円も売却し、代わりに海外債券を3.45兆円も買い込んだ。これは単なる利益確定ではない。「外は危険」「内に守りを築こう」──そんな心の叫びです。あなたの資産にも、この“慎重な波”が届いていませんか? いま、安心と利回りを求める人々は、地銀・電力・ガスといった“地に足のついた企業”に集まり始めています。
—
2. 【トランプ再登場の衝撃──日経平均2.6%急落の裏にあった“予告なき戦争”】
3月4日、日経平均はたった1日で2.6%も下落。理由は、トランプ前大統領が打ち出した新関税政策。まるで“経済の地雷”を突然踏んだようなショックでした。輸出依存の自動車・電子株が大きく崩れ、私たちの資産も揺さぶられました。いま必要なのは、「円で稼ぎ、地域で生きる」企業へのシフトです。
—
3. 【給料は上がっているのに、暮らしが苦しい。その“見えない理由”】
名目賃金は前年比2.8%増…でも、実際に生活が苦しいのはなぜ? 答えは「実質賃金」が1.8%減少しているから。つまり、使えるお金の“価値”が下がっているのです。年金生活者のあなたにとって、これはまさに“静かなる恐怖”。価格転嫁力のある企業、高配当銘柄──いまこそ、“物価を超える株”に守ってもらう時です。
—
4. 【世界が分断へ──グローバル企業から、地元密着企業への資産避難が始まっている】
米中の緊張、EUの経済自立、そしてアメリカの関税政策──世界は“壁”を作り始めています。その影響で、大企業の株が揺れる一方、地場の水道、バス、介護、地方銀行など、生活を支える企業が注目され始めました。「知ってる企業」「使っている会社」こそ、これからの投資の味方です。
—
5. 【経営者の本音──「設備投資はするが、不安だ」】
2025年の設備投資額は大幅増…でも経営者の6割が「先行き不安」と答えています。これは“攻め”ではなく、“備え”の投資。だからこそ、過去10年にわたり配当を出し続けた企業や、現金をしっかり持っている企業が信頼を集めています。攻めるなら“守りながら攻められる”企業です。
—
6. 【消費が減ったのに、旅行や外食が増えている理由】
2025年2月の消費支出は微減。でも旅行、外食、レジャーは増えています。なぜか? 答えは「人と過ごすことの価値」が見直されているから。地方鉄道、観光、飲食チェーン…“あなたの町にある企業”が、再び輝きを取り戻しています。投資は「身近」こそが最強の武器です。
—
7. 【30年ぶりの“賃上げ要求”──いま企業は試されている】
今年、組合は6.09%というバブル以来の賃上げ要求を出しました。人が集まらなければ、企業は利益が出せない。“高くても選ばれる商品”を持つ企業だけが、価格転嫁に成功し、成長していきます。今、株を買うなら「価値を提供できる企業」です。
—
8. 【円が買われている──それは、日本という“信頼の証”】
円高が進む今、外国人投資家が日本株を買い戻しつつあります。これは「リスクを避けるなら日本へ」という世界の意思表示。いま投資すべきは、輸出より“日本の暮らしを支える企業”──医薬、小売、外食、不動産、教育。円高は「あなたの安心」を生むチャンスでもあります。
—
9. 【40年国債が3.675%──“金利の時代”が始まる】
長期金利が急上昇。それは「国が借金を抱えすぎている」サインでもあり、「預金では追いつけない時代」の到来です。債券投資、金融株、インフレに連動する資産──あなたの資産防衛は、もう「株だけ」ではありません。これからは“金利を味方にする運用”を。
—
10. 【トランプの復活が告げる、“分断の時代”の再来】
新たな関税政策「Liberation Day Tariffs」は、世界を再び“敵と味方”に分けるかもしれません。もう一度、輸出依存型企業が吹き飛ぶ前に──地場で稼ぐ企業、生活を支える会社、あなたの町に根付くビジネスに資金を寄せてください。守るべきは、数字よりも「地に足のついた価値観」です。
—
【結びに】
65歳以上になっても、投資は終わりではありません。
むしろ、ここからが“本当に意味のある投資”の始まりです。
この10本の記事が、あなたの生活と未来を守る羅針盤になりますように。